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地域と向き合う山梨県立大学の15年

いま大学が地域貢献に取り組むことはすっかり当たり前となりました。少子化時代にあって、地域貢献をしない大学は時代から取り残されるという危機感もあるかもしれません。しかしそれ以上に、地域貢献に取り組むことは大学の教育や研究の充実につながる、という本質的なメリットが理解されてきたという側面があるように思います。

山梨県立大学は2005年の開学当初から「地域に開かれ、地域と向き合う大学」との理念を掲げてきました。この15年の間、県立の大学として、教育事業を通じた人材輩出はもちろん、さまざまな形での地域貢献・地域連携に取り組みました。この記事では山梨県立大学の地域連携の15年の歩みをご紹介します。

地域研究交流センター

2005年の開学当初から一貫して山梨県立大学の地域連携の中心を担ってきたのが地域研究交流センターです。この記事を書いている箕浦は2019年度から6代目のセンター長を務めています。

山梨県立大学には、国際政策学部、人間福祉学部、看護学部という、異なる特徴を持つ3つの学部があります。地域研究交流センターは、これらの学部の専門性を活かしつつ、学部を横断した事業をおこなってきました。このことを通じて、大学と地域をつなぐだけでなく、大学内の連携を深める役割も果たしてきました。

現在の地域研究交流センターの事業は、(1) 地域研究、(2) 生涯学習、(3) 交流・発信の3部門で運営しています。それぞれの部門の事業について以下で説明します。

地域研究事業

地域研究交流センターの事業の柱のひとつが地域研究です。地域が抱える課題とその解決、地域資源の発掘と継承、創造につながる研究など、地域貢献につながる研究プロジェクトを、学内教員および地域の方々の連携によって実施するものです。現在は、学内教員からの申請によって実施する「共同研究」とセンターが関与して重点的に実施する「重点テーマ研究」の2つのカテゴリを設けています。

これまで15年間で実施された研究プロジェクトは123件にのぼります。多くのプロジェクトは地域の現場の課題に関わる内容で、その課題の当事者である自治体や施設、住民団体などが共同研究メンバーとして参加するケースも少なくありません。学術のためだけの研究ではなく、地域貢献・地域実践を志向する研究プロジェクトが多くおこなわれてきたことが特徴です。

これまでの研究プロジェクトのテーマは、「多参画社会の構築」「新しい教育の場の創造」「地域産業の振興と地域の活性化」「県民の保健・医療・福祉の充実」「やまなしの文化の掘り起こしと価値創造」といった領域にわたっています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

生涯学習事業

広く地域に学びの場を提供する生涯学習事業も、地域研究交流センターの大きな柱のひとつです。大学教員の専門的知識を活用し、地域の方々のニーズに向けた各種の講座を企画してきました。2019年度までに実施した事業の数は193にのぼります。

本学の生涯学習事業では、一般的な教養講座だけでなく、人材養成を目的とした特色あるテーマの講座を開催してきました。たとえば2006〜2009年度に開催した「地域プロデューサー養成講座」は、自発的・自律的・創造的に地域のために活動できる人材を養成しようとする先駆的な内容で、多くの意欲的な受講者を集める有意義なものとなりました。近年も、「子育て支援員養成講座」「市民後見人養成講座」など、大学の専門性に根ざした地域人材の養成を、自治体と連携して実施しています。これまでの生涯学習講座に関しては以下の記事がありますので、詳しくはそちらをご覧ください。

今後さらに、活力ある地域づくりにつながる人材育成に向けて、仕事の場におけるスキルアップやキャリア形成に役立つような学びの提供をおこなっていく予定です。

交流・発信事業

地域との連携を広げるために、情報発信も重要な取り組みです。センターが設置された2005年度から年2〜3回ニューズレターを発行し、県内各所にお配りしてきました。2010年度には名称を「tobira」としてリニューアルし、2018年までに33号を発行しました。現在はウェブサイト、SNSなど、インターネットを通じた情報発信をおこなっています。

交流事業としては、さまざまな地域連携をおこなっています。センターが窓口となって、大学外からのさまざまなご相談に対応しています。いくつかの自治体、団体、企業、高等学校等とは協定を締結して連携を進めています。また、学内の教員や学生が自主的に実践する地域貢献活動に対してセンターが支援をしています。

飯田キャンパス、池田キャンパスの周辺自治会との連携も10年以上続いています。年1回程度、自治会長のみなさまを大学にお招きし、学長や教員と懇談する機会を設けています。また、地域でのイベント等に大学として協力させていただいています。

地域志向の実践的教育

以上の部門事業のほかに実施してきた重要な取り組みとして、地域志向の教育活動があります。もともと山梨県立大学の3学部・1研究科は、現場での問題解決を志向する実学的な教育カリキュラムを設けています。その上に、2013年に文部科学省による「地(知)の拠点整備事業(COC事業)」に採択されたことを契機として、地域実践教育の強化に取り組んできました。

COC事業は、地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能強化を図ることを目的として文部科学省が2013年度から実施した事業です。山梨県立大学は初年度52大学のうちの1大学として採択され、2017年度までの5ヶ年、学内に学長直属の「地域戦略総合センター」を設けて事業に取り組みました。

COC事業においては、実際の地域課題の解決に向けたプロセスを実践的な教育・研究活動の場として捉え、教員 ・学生による多様な地域プロジェクトを実施しました。また、地域との対話の場を「山梨県立大学フューチャーセンター」と位置づけ、地域ニーズと大学シーズとのマッチングを図りました。

このコンセプトは2018年度に採択された内閣府「地方と東京圏の大学生対流促進事業」にも受け継がれ、2018年度から2020年度にかけては「山梨県立大学フューチャーセンター Casa Prisma」を甲府駅北口の「甲州夢小路」内に設置して活動を展開しました。

おわりに

こうした山梨県立大学の地域連携をふりかえり、今後を展望することを目的として、3月2日に「地域研究交流フォーラム」を開催します。オンラインで開催し、どなたでもご参加いただけます。以下のリンクからお申し込みください。

地域研究交流センターの活動の詳細は、毎年度発行している「年報」に記載しています。以下の機関リポジトリにアクセスし、「地域研究交流センター 年報」で検索してください。

また、COC事業の実績報告は、以下をご覧ください。

文:箕浦一哉(山梨県立大学地域研究交流センター長)


これからもよろしくお願いします。
山梨県立大学の公式noteです。学生と教職員の「人が見える、声が聞こえる」noteを目指します。よろしくお願いいたします。